[13]スパゲッティの悲劇

車椅子生活になった現在、一昔前とガラッと世の中が変わり、ずいぶん暮らしやすくなった。

便利な家電やグッズ、外に出ればバリアフリーの施設が圧倒的に多く、車椅子の私を見れば周りの皆んなが優しく接してくれる。

 

夫の理解も大きいと思う。

1番ありがたいのが、料理にうるさくないこと。

嬉しいことに冷凍食品や惣菜がかなり美味しくなった。コンビニの食品も電子レンジ調理もばかにならないほど美味しい。 

 

ただ、これらは夫でもできる。

私のできることは何も無い。

私のいる意味があるのだろうか?と悩んだりする。

 

そうだ、スパゲッティを茹でるくらいなら私でもできる。

 

市販のソースを使ってスパゲッティを作ろうと思った。

取ってのついたストレーナーを使えば、私でも作ることができる。

 

パスタを半分に折るが、それでも雪平鍋になみなみとお湯を沸かさないといけない。

 

 

何年か前に憧れのガラストップガスコンロに変えた。

掃除が楽、目安の時間に自動消火できたり便利な機能がついているけど、炎の中心に鍋を置かないと傾きやすい。

 

 

 

お湯が沸騰した。

塩を入れようと手を伸ばした瞬間、雪平鍋の柄に手があたった。

直後に鍋がガタンと傾き、右手足にジャーッと沸騰したお湯を浴びてしまった。

 

手は半袖シャツ着てたせいもあり、すぐにキッチンの蛇口の水で冷やしたが、沸騰したお湯の威力は強く、

足はジャージを履いていたのと、冷たい水をかける風呂場まで行く時間で少し遅れたせいもあり、かなり重症。

 

夫が救急車を呼び、火傷に権威のある病院に搬送され、そのまま入院となった。